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漢方について

2009年2月号 1月6日(火)発売 リベラルタイム2月号 LT REPORTより抜粋
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がん治療で脚光浴びる「漢方併用」の有効性

がん治療の最前線で、専門医たちが漢方薬に注目している。
闘病患者のQOL(生命の質)を高める、漢方治療の効果とは
「抗がん剤とともに漢方薬や鍼灸を併用すると、格段に治療効果がある」
そんな最新の研究成果が、二〇〇八年秋に名古屋市で行われた第四十六回日本癌治療学会総会のワークショップの席上で、多数発表された。

副作用を軽減

 癌研有明病院漢方サポート外来の星野惠津夫医師は、がん専門病院の漢方サポート外来の必要性を報告した。
 癌研有明病院では〇六年に漢方サポート外来を設置し、がん闘病中の患者を漢方薬によって支えてきた。
患者は同院内の他科からの紹介のみならず、院外からの紹介患者も急増しており、すでに七百名以上が漢方サポート外来の治療を受けている。
 来院する患者の訴えで共通しているのは全身倦怠、食欲不振、便通異常、身体痛、冷え、不安、不眠。個別愁訴では胃がん手術後の嘔吐や下痢、癒着性イレウス(腸管癒着)、頭頸部がん放射線後の口腔乾燥、化学療法後の手足のしびれ等多岐にわたる。
「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)といった補剤を頻用したが、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、大柴胡湯(だいさいことう)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、茯苓飲(ぶくりょういん)、大建中湯(だいけんちゅうとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)等も用いた。 お血(“お”はやまいだれに於という字。 血液の滞り)、腎虚、便秘等に対しては、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、麻子仁丸(ましにんがん)等を併用した。 治療の結果、多くの症例で症状緩和が可能だった。 全国のがん専門病院に、漢方サポート外来の開設が望まれる」と星野医師は語っている。

 一方、別のワークショップ『がん治療における漢方薬の役割』では、より具体的な漢方薬の役割を提示している。
 和歌山県立医科大学医学部産科・婦人科学教室の田中哲二医師は「抗がん剤の副作用に、血小板の減少がある。
これを抑える薬剤はなく、血小板の輸血によって対処する。
ところが、この血小板の輸血によって抗血小板抗体をつくり、患者の余命を縮める場合もある」と、副作用を抑える血小板の輸血がさらに危険な副作用を持っていることを説明する。
 そこで田中医師は、医療用のエキス漢方薬をすべてスクリーニング(選別)して、血小板減少を抑える可能性が示された漢方薬を治療に活用している。
そのひとつが人参養栄湯(にんじんようえいとう)だ。
「卵巣がん、子宮がん等にCPT11(塩酸イリノテカン)と人参養栄湯を併用した患者二十人の場合は、奏効率(がんの縮小効果)は八五%でした。 同じく人参養栄湯を併用したTC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)では、奏効率九〇%を超えました。これらの奏効率は、抗がん剤だけを投与した時より高く、人参養栄湯は抗がん剤の効果を下げることなく、副作用も緩和しています」(田中医師)

「余命延長」の実例も

「抗がん剤に十全大補湯、補中益気湯を併用した患者三十三人の生存平均は六百十五日、漢方薬を併用しなかった患者三十三人の生存平均は四百四十一日、末期がん患者の余命を約六ヶ月延長した」という。